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初めて――でも生涯最悪の――「二日酔い」を
知ったのはハタチのときだった。
赤坂の暗い公園の陰に
ひっそりと隠れるようにしてあったディスコで、
いつものようにオトコとふたり。
J&Bをふたりで1本半あけた。

店を出ると、蒼い月夜だった。
がらんと殺風景な公園を
泳ぐようにしてよこぎり、
ひとけのない道を泣きながら歩いた。
――いつのまにか、泣いていたのだ。
午前4時。
通る車もいないのに、点滅をくりかえす信号機が、
びしょ濡れの視界に滲んでいた。
青山通りをゆらゆらと歩きながら、
――いったいどこまで歩くつもりだったのか
ひたすら泣いていた。
泣きすぎて、頬がごわごわと強ばってきたので、
顔を洗った。
警察署の前に小さな噴水があったのだ。
――と記憶しているけれど、定かではない
もちろん噴水などとまっていて、
それは、ただの小さな淀んだ池だった。
じゃばじゃばと顔を洗うあたしの横で、
オトコが何か言っていた。
やめろよと袖をひかれたような気もするけれど、
かまわずに顔を洗い続けた。

心地好かった。
小さな丸い池の水に映る、
自分の蒼褪めた顔が、
ぐにゃりとゆがんで笑っていた。
泣いているはずなのに、水の中のあたしは笑っていた。
蒼い月までもが、
ゆらゆらと揺れて笑っていた。


午後1時。
目覚めると、気分は最低だった。
今日が人類滅亡の日であってほしいと願うほどに、
最悪だった。
這うようにして洗面所に行くと、
妙に白っぽい顔をしたあたしが、
鏡の中で眉をしかめていた。
どうやって帰ってきたのか、
何時に帰ってきたのか、
オトコはどうしたのか。
記憶になかった。
覚えているのは、
ひたすら泣きながら歩いたことと、
ひたすら顔を洗ったこと、
それだけだった。

笑顔など1ミリたりとも作れない
鏡の中の自分を見ながら、
あたしは思っていた。

J&Bは、もう飲みたくない。

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