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午前零時。
駅からの道をふらふらと帰ってくると、
足元の影が、くっきり黒い。
街灯の途切れた路地裏が、
やけに明るい。

見あげれば、満月。

月は、白く、蒼白く、
透き通るほどに、明るい。
まるで蛍光灯のような、まばゆさだ。
澄明(ちょうめい)とは、こういうことか。
澄朗とは、このことか。

その斜め下に、
光りの針で、ひと突きしたような、
星。
ぷつん、と。
木星だろうか。

家に戻り、いそいそとベランダに出る。
素焼きのタイルが、白々と明るい。
月は真上。
空が、蒼い。
見渡せば、
家並みも稜線も、
木々も島も水平線も、
蒼白い幻灯のよう。

こよみを見れば、
6日は、十六夜
7日は、立待月 満月。

この月は、まだ十六夜なのか。
満月未満なのだろうか。

だが月は、
そんなことおかまいなしに、
ただ、まあるい。
まばゆいほどに、澄んで明るい。


昨日と今日の狭間の月に、
かざした手が、ぼうと白い。
 
 
 
 
 
 
 

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