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キンモクセイの香りに酔いながら、
住宅街を歩いていると、
道角に男の子が、ぽつりとひとり。
しゃがんでいる。
ランドセルを背負ったまま。
眉を寄せた一生懸命な顔で、
なにやら土を掘っている。

何をしているのかと訝りながら、
首を傾げていきすぎると、
今度は向かいから、女の子がふたり。
ピンクのスカートをひるがえし、手を繋いで、
黄色いバッグを、たすき掛け。
きゃあきゃあ笑い転げながら、
生け垣の赤い葉を摘み、
歌を唄いながら、ねこじゃらしを引き抜いて、
小犬みたいにじゃれあいながら、
角をまがって消えていった。

ふいに思い出した。
「道草」というコトバを。
いつのまにか忘れていた。
「道草」なんて、すっかり忘れてしまっていた。

ひとり帰る道すがら、
ブロック塀の透き間に詰めた小石、
松葉で突つくアリの巣、
ポケットが破けるほど拾った、まあるいドングリ。
――拾ったところで、何をするわけでもないのに。

懸命に道草をしていた頃。
真剣なまなざしで、道草をしていたあの頃。
世界は歓びに満ちていた。

道草なんて、

もうずっと忘れていた。