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中学に入って初めてできた友だちに初めてもらったテープには、
「500マイル」が入っていた。
ピーター・ポール&マリーの、その1曲だけ。
彼女のお弁当のサンドウィッチには、
ブルーベリージャムがはみ出るほどにはさんであった。
初めて見る真っ黒なジャムに憧れて、
あたしは、500マイルを繰り返し聴いた。
地球を何十周もするくらい、500マイルを聴いたのに、歌詞は覚えられず、
憶えているのは、たった一度お弁当を交換したときの、
ジャムの甘さだけだった。

高校の頃、
ふとしたことからアイドルにはまった。
恋に恋する3年間、彼の歌ばかり聴き続けた。
ある日突然、熱病は冷め、
抱えきれないほどのレコードを、紐でくくって押入にいれた。
熱に浮かされて書き綴ったウワゴトのようなコトバたちを、
紐でくくって段ボールに入れた。


20代の頃。
ボブ・マーリーに焦がれていた。
怖いほど透き通った瞳、
何を唄っても哀しい声。
レゲエのライブにも何度か行ったが、
甘苦い匂いの煙りが立ちこめるライブハウスのトイレで、
赤と緑と黄色のキャップをかぶった自分を見ながら、
ボブ・マーリーはもういない、と、
あたしはひとり怒っていた。

30代は、何も聴かなかった。
24時間働けますか、とヤケのように唄いながら、
ただ毎日が過ぎていった。

40になって、クミコに出逢った。
ジャンルはクミコとでもいうような、
ちょっと変わった歌手だった。
ひとつひとつの歌が幻灯のように、
あたりに浮かんでは消えていく。
こちら側とあちら側を行き来するようなライブに、
もう数え切れないほど通っている。


どの歌も、BGMにはならないのだった。

あたしは、まるで本を読むようにして、
歌を聴いてしまうのだ。

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砂浜で。ベランダで。風に吹かれて。
そんなときだけBGMが欲しくなる。
やっぱりレゲエかハワイアン。

実は南国体質らしい。

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