
旅先で地下鉄に乗ると、
知らない土地にいるのだと、強く思う。
窓から景色が見える、
車やバスや電車に乗っている時よりも、
ずっと、強く。
濃い闇に映る、人々の影。
ごうごうととどろくノイズの透き間に、
見え隠れする言葉、声。
同じ国の、似たような服装の、見たような顔。
白く照らされたその光景は、
自分の暮らす街を走る地下鉄と何の変わりもない。
だが、
闇に塗りつぶされた窓の向こうに、
鈍く光る地下鉄の屋根の上に、
知らない土地がある。
触れたことのない、土がある。
土の中を突っ切っていく地下鉄に乗りながら、
見知らぬ土を思う。
触れたことのない黒々とした土が、
ひんやりと湿ったその匂いが、
肌に沁みてくる。
遠くに来た、と、
わたしのからだが言うのだった。
