
18の頃からずっとお酒はイケルクチだったけど、
でもワインは飲まなかった。
なんだか気取っている、と思っていた。
ワインなんて、と。
酸っぱいような渋いような甘いような、
その複雑さにもついていけなかった。
26のとき。
オトコの部屋でワインを飲んだ。
血のようにとろりと赤いワインに、
天井のピンライトがくらくらと揺れていた。
つまみはチーズだけ。
クセのある、塩分の強いブルーチーズ。
グラスを合わせ、ワインをすする。
うーん、と思っていると、
オトコが言った。
チーズを食べて、もういちど飲んで。
その通りにした。
驚いた。
甘い。
酸っぱいような渋いようなワインが、甘いのだ。
薫り高く、気高い甘味。
してやられた。
ワインにも。
オトコにも。
甘美な夜。
あの夜から変わってしまった。
何かが大きく変わってしまった。
やがて。
一番好きなお酒はワインになり、
あのときのオトコは、
オットになった。
