atuisyohyo.jpg


「あらすじで読む名作」というような本が、
書店に平積みされはじめたとき、あたしは首を傾げた。
「うーん、あらすじだけ読んでもなぁ」と。
あらすじだけで、その本の「面白さ」なんて分かるわけがない。
ましてや、あらすじだけ読んで、読んだつもりになってしまうのでは哀しすぎる。
もちろん、これを手がかりに読めそうな名作を探してみよう、
という使い方もあるだろうけど。

そんなことを思っていたある日、突然すばる舎からメールが届いた。
「あらすじだけじゃ、本の面白さは分からない。
もっと本に対する愛情のある名作紹介本を作りたい」
そのメールで、Y編集者は熱く語っていた。
で、もちろん。
あたしは、その書評の依頼をお受けした。

が、問題は「どの本について書くか」ということだった。
好きな本、思い入れのある本はたくさんある。
とにかく候補を10冊に絞って、あれこれ相談しつつ、
結局、「センセイの鞄」に決まったのだけど。

川上弘美著の「センセイの鞄」は、かなり話題になった本だ。
しかも、あたしの周りでも、評価は「まっぷたつ」に分かれていた。
良いと言う人は、果てしなく好きだと言うし、
嫌いという人は、どこまで行ってもワカラン、という。
その書評を書くとなると、いったいぜんたい……。
悩んだあげく、あたしは決めたのだった。
書評なんてもんじゃなくて「まったく個人的な文章」を書こうと。
元々「読書」というのは、とても「個人的」な楽しみだと思うから。
100人いれば、100通りの読み方があっていい。
それにあたしは常日頃、エッセイを書くと「小説?」と言われ、
レビューを書くと「エッセイ?」と言われることが多い。
この際、それに徹してしまえ、
と覚悟を決めた(ヒラキナオリともいう)のである。


ということで。
ぎっしりと「熱い想い」が詰まった書評本。
かなり読み応えのある1冊になったのでは。
本に対する愛情たっぷりの、ちょっと変わったレビュー本です。
ぜひ、お手にとってみてください。


 
 
+++

『熱い書評から親しむ感動の名著』
bk1with熱い書評プロジェクト/すばる舎/2004年/1680円